概要

競技パフォーマンスのためのニューロトラッカー概論

視野はどのように認識されるのか?

周辺視野は物体の動きや色に関する多くの情報を取得します。この周辺情報を処理する脳の部位は、物体の詳細情報を処理する部位とは全く異なります。実際、脳における運動追跡は詳細分析とは全く別個に行われており、これら2つの機能は脳の別々の領域で制御されています。目まぐるしく変化する複雑な環境においては、一般に、動きを追うことの方が詳細を認識することよりも重要性が高いものです。これは、その環境に慣れている場合(運動場やフィールドなど)に特に当てはまります。


複数の物体が同時に視界に存在し、異なるスピードで別々の方向に動いているとき、物体がその後最終的にどの場所に来るのかについて、脳は複雑な予測をしなければなりません。物体の前を別の物体が横切るような場合にはより一層複雑になり、脳は作業記憶を利用して、隠れた物体が視界から消えている間の動きを推測する必要があります。つまり、物体が動くのを見ることと、物体の移動先を見極めることでは、後者の方が、複雑度が高いのです。物体の移動速度が上がれば上がるほど、脳にとって追跡はますます困難になります。動きが速すぎたり複雑すぎたりすると、脳が圧倒され、状況を認識できなくなってしまいます。


団体競技で選手の課題となるのは認識(自分の周りの出来事や物体を、知覚したり認識したりする能力。)、すなわち中心となるいくつかの詳細な部分を基に、脳による運動予測を加えてフィールドの全体像を頭の中に構築することです。選手は、絶え間なく流れる視覚情報を吸収することにより、自分の周囲の映像を常に頭の中で更新していく必要があります。最終的には、視覚、聴覚、その他の感覚により得られる情報に対し可能な限り素早く反応し、リアルタイムで判断を下さなければなりません。


認識の要点:

  • 周辺視野は運動知覚にかかわっています。これは、詳細の認識とは別個に機能する認知プロセスです。
  • 複雑で変化の激しい環境(スポーツなど)では、運動知覚は詳細の知覚よりも重要です。
  • スポーツは特に、脳の運動知覚機能に対し多くの要求をします。スポーツ選手は自分の周囲の動きを観察するだけでなく、次に何が起こるかを予測しなければなりません。
  • 認識とは、視覚情報と運動予測を組み合わせて、フィールドで起きていることの全体像を頭の中で構築することを意味します。