概要

競技パフォーマンスのためのニューロトラッカー概論

注意力はパフォーマンスにどう影響するのか?

目を開けているからといって、私達の脳が目の前にある情報を有効に活用しているとは限りません。脳が取り込む大量の知覚データは、その約80%が毎秒20億件もの視覚情報で占められています。脳が有意義な処理を行えるのは、このデータの中のごく一部にすぎません。そこで、何に注意を向け、どのように精神を集中させるのかは、私達の認識に大きな影響を与えます。運動能力に大きく影響する注意力には、少なくとも6つの種類があります。ここでは、6種類の注意力の違いを学びます。また、それらがパフォーマンスに与える影響についても見ていきます


最も成功しているスポーツ選手はフィールド上でごくわずかな対象しか見ておらず、その対象に特に注意を集中している、ということはすでに指摘しました。これは、選択的注意 (Selective Attention)として知られています。選択的注意とは、最も重要なことに注意を集中し、邪魔なものを避けることです。


最も成功しているスポーツ選手は視支点という方法を用いて、速度や方向の異なる複数の物体の動きを追跡している、ということはすでに指摘しました。これには、分散的注意 (Distributed Attention)(複数の入力情報の流れに対して、同時に注意を払うこと)と動的注意 (Dynamic Attention)(急速に進行または変化する状況に対し、注意を払うこと)という2種類の注意能力を用いています。


最も成功しているスポーツ選手は、長時間の連続したプレーの間中、集中し続けます。これは持続的注意 (Sustained Attention)(不安定になりやすい注意力を、途切れさせることなく維持すること)として知られています。同様に、最も成功しているスポーツ選手は、試合の間中、注意の集中を何度も繰り返します。集中を連続的に繰り返す能力は、注意持続力 (Attention Stamina)として知られています。


世界一のスポーツ選手は、身体能力ばかりでなく注意力も優れています。最も重要な対象に注意を向け、動きの速い対象に注意を向け、複数の対象に同時に注意を向ける ― そのすべてを、長時間行うことができるのです。